
会社設立する場合と個人事業主とする場合のメリットとデメリット
ビジネスを始める前に、会社設立して法人としてビジネスを営むか、個人事業主としてビジネスしていくべきかは、誰もが迷うところであるように思われます。ここに、様々な角度から、どちらが有利であるか比較検討してみることにします。
会社設立ケース Vs. 個人事業主ケース
SOHOと言われる規模で個人事業主として働いている方、またはこれから、独自のビジネスを立ち上げようと計画中の方、事業を始めるには、まず、法人(会社経営)としてビジネスを営むか、個人(事業主)としてビジネスを営むかの形態を決することが、成功への第一歩です。どちらを選ぶかによってビジネスを成長させる上で活用できる資金の額等に大きく影響を与えるからです。
個人事業と会社経営のメリットとデメリットを相違点を表にまとめて見ましたので比較してください。
考査要素 事業形態 メリット デメリット 個人事業主 <素早くビジネスをスタート> ・役所への届出が無料 ・簡易帳簿のみで青色申告できる <税制面> ・必要経費として認められるものの範囲が狭い ・所得が1800万円を超えると、(所得税+住民税+事業税)で55%税金がかかる ・引き継ぎに高額な相続税がかかる可能性 ・適用される所得控除の範囲が狭い ・家族や親戚への給与に制約がある <資金調達面> ・政府系、民間金融機関共に資金調達が難しい <無限責任面> ・事業運営上の賠償責任が個人の財産に及ぶ ・負債がすべて個人責任 <信用面> ・個人という限界があるため、信用度は低い > 企業からの新規の仕事が取りにくい > 大規模な仕事が難しい > 商品仕入れができない > アルバイトなど人材確保が難しい <その他> ・社会保険に加入できない ・企業に対する助成金の対象とならない ・銀行口座が個人名義となる 会社経営 <税制面> ・必要経費として認められるものの範囲が広い ・適用される所得控除の範囲が広い ・家族や親戚へ給与を出しやすい <資金調達面> ・政府系、民間金融機関共に資金調達の道がある <有限責任面> ・事業運営上の賠償責任は、個人に及ばない ・会社の負債は会社の責任 ※小規模企業では、資金調達などに際し社長の個人保証を求められる場合がある。 <信用面> ・法人という良イメージがあり、信用度は高い > 企業からの新規の仕事が取れる可能性 > 大規模な仕事を受注する可能性 > アルバイトなど人材確保が可能 <その他> ・社会保険に加入できる ・企業に対する助成金の対象となる ・銀行口座が法人名義となる <手続き・報告義務> 会社登記手続きなどを伴う 決算などの報告義務 |
上記の表をどの様に評価し、判断するかはあなた次第ですが、素晴らしいビジネスアイデアと優秀なあなたの能力を最大限に活かし、成長していくビジネスを目指す場合には、会社設立による法人経営が絶対に有利と考えます。
さらに、最終的に個人の収入にする段階では、下記の例のように支払う税額が大きく異なります。
下記の例では、スタート1年目のビジネスを控えめに想定し、社長の給料を500万円とする例を以て支払う税額を比較しています。
年収500万円を所得とする場合の比較表 | ||
事業形態 | 適用 | 金額 |
個人事業主 | 個人事業所得 青色申告特別控除額 課税対象所得 所得税 住民税 事業税 支払い税金合計 |
5000000 650000 4350000 272500 369000 137000 778500 |
会社経営 所得を全て社長給料とした場合 |
法人所得 必要経費 法人課税所得 法人税 法人住民税 法人事業税 法人税合計 給与所得 給与所得控除 課税対象所得 所得税 住民税 支払い税金合計 |
5650000 5650000 0 0 70000 0 70000 5650000 1670000 3980000 150300 266800 487100 |
上記の比較表で留意する点は、会社組織とした場合、給与所得となり、給与所得控除(=167万)が課税対象とならない点です。単純に比較しても、会社設立してビジネスを営んだ方が、年間で約29万円もの節税となります。
このページでは、会社経営者と個人事業主の両者を単純にかつ、対等に比較してきました。しかし、法人としてビジネスを始めるか、個人事業としてビジネスを始めるかの選択肢が存在はするものの、インターネット/IT社会というべき今日では、個人事業主は過失/無過失責任などによる損害賠償が、個人負債となることから、あまりにリスクの大きい選択肢であるように思われます。(下記の囲い内をご参照ください。)
インターネット/IT社会における、個人事業主が認識しなくてはならないリスク: 1) ホームページ作成などをする際、知らずうちに著作権を侵害し・・・賠償責任 2) パソコンが盗難に遭い、顧客情報が名簿業者などに渡る個人情報漏洩が起こり・・・賠償責任 3) Winnyの事件など、パソコンへ不正侵入されて情報漏洩が起こり・・・賠償責任 ここにあげた3つの内、2) 3) は対策を施している一流企業にさえ、ほぼ毎日のように起こっています。(外部リンク:情報漏洩事件簿)注意していても、防ぎきれない可能性があり、ハイリスクと捉えるべきです。 無限責任を負う「個人事業主」の場合、賠償責任が個人に及びます。たとえ手持ちの現金がなくとも、仮執行処分等が下れば、あなた名義の不動産などが差し押さえられるてしまう可能性があることも想定しておくべきです。 |
上記の理由から、ビジネスを始めるなら会社設立をして、会社経営をする形態が有利と言えます。
法人でビジネス展開を考える方は、アメリカで会社設立するか日本で会社設立するか?をご覧ください。